新米脅かす“黄色い侵略生物”正体は?京都の名所にも
▼2025.08.26(火) 19:11
白い花に続き新米を脅かす花の正体に迫ります。
■黄色い花がびっしり 深刻な事態に
人々が憩う千葉県柏市の公園。そのすぐそばで深刻な事態が起きていました。
公園に隣接する川の水辺に黄色い花がびっしり。かれんに見えても地元では脅威とされています。
近所の人
「増え方が半端じゃないから、(駆除しても)ちょっとやそっとじゃ」
上空から見た、かつての川の様子。黄色い花は見えません。しかし今、同じ場所を歩くと、広範囲にわたって繁殖していることが確認できます。距離でいうと、80メートルほどはこの植物で埋め尽くされていることが分かります。
県によりますと、周辺の沼や河川に一時、東京ドーム2個分の面積で黄色い花などが生息していたといいます。
■驚異的な生命力 オオバナミズキンバイ
その正体は「オオバナミズキンバイ」。
南アメリカなどが原産の特定外来生物。環境や生態系を壊す恐れがあるとして2014年に指定されました。特徴は驚異的な生命力です。
駆除直後の写真。それがわずか1年で、また一面に広がってしまったのです。この凄まじい生命力が恐るべき特徴なのです。
市民団体や県議らが定期的に駆除を続けていますが、繁殖のスピードに追い付けないのが現状だといいます。
さらに衝撃の現場が…。
柏市に隣接する我孫子市の田んぼです。奥には青々とした稲。ところが手前にはオオバナミズキンバイが。稲のすぐそばで繁殖していたのです。
専門家は新米への影響も懸念します。
なごや生物多様性保全活動協議会 小菅崇之副会長
「(コメの)肥料分をとってしまったり、稲に覆いかぶさって生えて日光を阻害したり、水陸両用なところが厄介。ある程度乾燥したあぜでも増えることができる」
コメ農家を脅かす外来種といえば、同じ南米原産の白い花「ナガエツルノゲイトウ」が知られていますが、この黄色い外来種はそれ以上の繁殖力。新米を直撃する新たな脅威となっていたのです。
■コシヒカリ 収穫にも打撃
向かったのは三重県桑名市のコメ農家。新米の収穫のさなかにある田んぼにはあちこちに黄色い花が…。
コメ農家 毛利道郎さん
「厄介者。なかなか手間がかかる、コンバインで詰まる、収穫できない、稲の栄養分がとられる、コメが悪くなる」
でき立てのコシヒカリの収穫量も、落ち込む見込みです。
農家は除草剤で黄色い侵略者を枯らしていますが…。
コメ農家 毛利道郎さん
「これは2回目のキンバイ。1回目はもっときれいに枯れていました」
「(Q.また生えてきた?)はい。根っこから少し生えてくる」
枯らしても、すぐに新しい芽が出るといいます。
コメ農家 毛利道郎さん
「こういう根っこ、これが残るんですね」
「(Q.残ると?)また増えるんです。これ取ってもまたこの1つだけで生えてくる」
さらに厄介なのが重機による作業。黄色い花がトラクターのタイヤに絡まったまま別の田んぼで作業すると、そこで爆発的に広がる恐れがあるのです。
■黄色い侵略生物 京都でも 対抗策は?
被害は農地だけにとどまりません。日本有数の観光地、京都の鴨川にも…。
京都府 自然環境保全課 川田淑詩さん
「このまま生息域が拡大すると(景観に)何かしら影響が出る」
鴨川の水面をびっしりとオオバナミズキンバイが覆っていました。
京都府 自然環境保全課 川田淑詩さん
「水面を覆いつくしてしまうことで、川に生息する在来生物の生息環境が悪化する影響が考えられる。光が川の中に届かないと光合成が行われなくなり、酸素が少なくなるところがあると思う」
府は年に1度、市民団体と協力して駆除していますが…。
京都府 自然環境保全課 川田淑詩さん
「いつも同じ場所で駆除活動をしているが、1回ですべて取りきることはできない。取り残したものから来年その場所を見ると増えている。継続的に徐々に減らしていくことが重要」
農業も観光業も脅かす黄色い侵略者。どうすれば止められるのでしょうか。
なごや生物多様性保全活動協議会 小菅崇之副会長
「侵入初期の場合、その地域のみ徹底的に駆除すれば広がりを止めることができるので、早期発見。行政や農業従事者が把握し、ピンポイントで予算をかけてたたく」